サクラの川とミライの道 講談社から出版/岡山・津山市

総合 左から稲葉なおとさん、稲葉伸次さん、井上隆士さん
左から稲葉なおとさん、稲葉伸次さん、井上隆士さん
         

 「その美しい自然、建築、街並みを持つ津山のミライについて、子どもたちと一緒に考えてもらえたら」―。

 紀行作家・一級建築士の稲葉なおとさん(62)=東京都=が書きおろした児童書『サクラの川とミライの道』が講談社から出版された。稲葉さんのいとこたちが方言を監修した津山本第2弾。


 小学校5年の山下伸太郎が津山から東京の学校に転校してくるところから物語は始まる。伸太郎は少しふっくらしていて、津山弁丸出しでしゃべり、休み時間はいつも一人で魚の図鑑を読んでいる。

 そんな伸太郎にも友だちができる。何もかもが普通のB太郎こと鴨居映太郎。2人は伸太郎が見つけた秘密の場所、タモロコやモツゴなど小魚の楽園で魚捕りを楽しむようになる。そこに道路の拡張工事のため川の一部にフタをするという話が持ち上がる。道路が広がると生活は便利になる一方で、フタをすると魚はすめなくなる。2人は川の未来のために立ち上がる―。

 「津山というまちは、僕にとっては父の生まれ育ったまちであり、子どものころは夏と正月に必ず帰る故郷でもありました」となおとさん。作中で津山は「岡山県の中でも観光で人気のある町です」と紹介される。「昔のお城の石垣が大きな公園になっていて、すごくきれいな町でしたよ」。

 物語を象徴するシーンでは津山城跡の「桜のじゅうたん」が出てくる。他の作品にも登場する、なおとさんにとっても思い入れが大きい風景だ。「石垣を登ってくとだんだん桜の木が下にも見えるようになってくるんじゃ」。

 そして伸太郎が話す言葉は我々になじみ深い生きた津山弁だ。「津山に行くことがあったら、案内するけん」には同級生から「何いっているのか、わかんないよ」と返される。「おもしれえで」「そうなんじゃ」「じゃけん」「みせちゃるけん」「ほんなら」―。そんなお国言葉が物語に独特の温もりを添えている。

 方言を監修した一人の津山市観光協会副会長・稲葉伸次さん(61)=沼=と、実弟のB‘z稲葉浩志さん(57)は、なおとさんといとこ同士。「なおと君と一緒に遊んではけんかをしていたことを思い出しました。僕たちの子ども時代の物語でもありますね」と伸次さん。

 もう一人の方言の監修者で稲葉さんたちとはとこの会社役員・井上隆士さん(60)=坪井町=は「津山弁にはこだわりました。これは津山のごんごの物語。そんな本が全国の書店に並ぶのがうれしいですね」と語る。

 「父が生涯、津山弁で話していたのを、子ども心にどこか『変なの』と思っていましたが、今となると、方言だからこそ伝えられる温かな感覚がたくさんあったことが分かります」となおとさん。
 本書は講談社の「シリーズおはなしSDGs」の11巻「住み続けられるまちづくりを」。1350円(税別)

『サクラの川とミライの道』(講談社)

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