作州人 「未来工房」代表取締役 藤原康洋/岡山・津山市

ザ・作州人
         

作州人26

◎虹の向こうに夢がある
  「未来工房」代表取締役 藤原康洋

▽前文
 今回の「ザ作州人」は新型コロナウイルスの影響を受けながらも明るく立ち向かっている兵庫県尼崎市在住の藤原康洋さん(55)を取り上げる。実は中学校の同級生。どちらかと言えば地味だった。しかし、人を大切に、コツコツがんばり続ければ、平凡は非凡になる。現在は年商3億8000万円の社長にして、カフェのオーナーだ。
▽本文
 中学時代のあだ名は「わらし」だった。名字の藤原から来ているのだろう。あまり目立つタイプではなかった。それが40年後、尼崎市で会社を立ち上げ、地域に貢献するカフェのオーナーにまでなるのだから人生は分からない。
 「人との関わりを大事にしてきた。これからも、そこを大事にしていきたい」
 これがわらし、いや、藤原さんのポリシー。簡単なようでこれがなかなか難しい。「継続」したからこそいまがあるのだろう。高校を卒業後は福山通運へ。事務員として採用され、29歳のとき、尼崎に拠点を構えた。その後は全国各地を単身赴任。49歳で転職し、52歳で株式会社「未来工房」を起業した。
 藤原さんを知っている同級生なら「らしくない」と思うかもしれないが、各地に勤務した縁で人脈を広げており、運送業はすぐに軌道に乗った。
 その後は尼崎市のとのパイプも広がり、昨年はイベントに飲食ブースを出店。これがきっかけで市と阪急阪神電鉄、尼崎信用金庫などによる尼崎市中小企業センター「寺町プロジェクト」に参画し、カフェをオープンすることに。プレオープンには尼崎の稲村和美市長も顔を出している。
 場所は大正12年に開校した開明小の跡地。昭和12年に完成した校舎は戦争中に銃撃を浴びるも奇跡的に残り、登録有形文化財に指定されている。カフェは職員室を改装したもので、昨年3月に再建され、年間14万人が来場した尼崎城とは目と鼻の先だ。
 店名は「なないろカフェ」と名づけた。「公園が見える、ちょっぴり贅沢な癒やしの空間」がコンセプトだ。
 「小学校のころ、放課後に見た虹によく癒やされたから。カフェの名前を考えているときに、頭に浮かんだんです。すべてのお客様に満足してもらいたいですね」
 奥さんも津山出身。当然、故郷のことはいつも気になっている。
 「高校を出てからは年に数回帰るだけやけど、いつも津山のことは、みんなに宣伝してます。この春、桜まつりに帰ったらひっそりとしていて、かつて見たことのない光景だった。早く、たくさんの人たちで賑わう場所に戻ってほしい」
 会社名の「未来工房」はよくある名前かもしれないが、そこには藤原さんの希望が詰まっている。コツコツがんばれば非凡は平凡に。同級生に勇気を与えてくれる男だ。(山本 智行)

◆藤原康洋(ふじわら・やすひろ)1964年7月27日生まれの55歳。津山工から福山通運。35歳から管理職として全国に赴任。49歳で転職し、52歳で運送業「株式会社未来工房」を起業。今年4月、尼崎市に「なないろカフェ」をオープン。人材派遣業も営む。
▽「なないろカフェ」
 尼崎市開明町2丁目1‐1開明庁舎内1階。阪神尼崎駅、尼崎城から徒歩3分。ランチ、ディナータイムに分かれ、チーズケーキが1番人気。営業時間は通常11時半〜21時45分。現在はコロナの影響で11時半〜17時。詳しくはホームページ7716cafeで検索。


>津山・岡山県北の今を読むなら

津山・岡山県北の今を読むなら

岡山県北(津山市、真庭市、美作市、鏡野町、勝央町、奈義町、久米南町、美咲町、新庄村、西粟倉村)を中心に日刊発行している夕刊紙です。 津山朝日新聞は、感動あふれる紙面を作り、人々が幸せな笑顔と希望に満ちた生活を過ごせるように東奔西走し、地域の活性化へ微力を尽くしております。

CTR IMG