【特集ザ・作州人】大阪「河南町文化協会顧問」 100年時代を謳歌する人生の達人 内田満さん83歳

ザ・作州人 作州人三〇◇内田満(うちだ・みつる)1937年(昭12)2月23日、津山市生まれの83歳。
         

 老いてますます盛ん。今回の「ザ作州人」は地域の文化活動に貢献し、現在は「河南町文化協会顧問」を務める内田満さん(83)を紹介する。多趣味で世話好き。特に、鴨川中学2年から始めた俳句とは70年の付き合いで銀行マンを経たいまも句会を主宰し、俳号は郷土愛を感じさせる「内田鴨川」だ。

 話し出したら止まらない。そのエネルギッシュさは仕事にも創作活動にもいかされている。とにかく多芸で多趣味。それは旺盛な好奇心と頼まれたら嫌とは言えない性格から来ているようだ。


 「昔から何でも頭を突っ込んできましたね。俳句に絵画。昭和27年に短歌で賞をもらったのがうれしくて、以来70年続いている。すべては、ふるさとあっての私です」

 多感な時期を大自然の中で過ごしたことが創作のベースになっているのだろう。
 笛吹きて 池畔を来れば 月光の 野原の花を白く照らせり
 これが特選に選ばれた記念の作品。「京都にいた姉が正岡子規の本を持って帰ったことが短歌や俳句を詠むきっかけでした」


 以来、住友銀行時代には130年続く句会に参加。さらに岡山県北出身者らでつくる「蘖(ひこばえ)俳句会」を主宰し、こちらは昨年発足30周年を迎えた。自身は出身中学校名からとった俳号「内田鴨川」として俳句集「吉井川」を自費出版。その中には津山朝日に寄稿したものも含まれている。


 その一方で、絵画にも熱中。平成2年には水彩画の個展を開き、その絵は関連会社の応接室に飾られているという。


 現在は自宅のある河南町文化協会で顧問を務めるが、これまでに岡山晴れの国大使を務め、津商関西支部長、近畿作州会の立ち上げなどにも尽力してきた。


 それもある意味では運命かもしれない。何しろ生徒会長を務めた津山商では器械体操や劇団の創設に携わり、弁論大会にも出場。さらに郵便友の会の会長として海外との文通にも取り組んだという。


 銀行マンとしても〝武勇伝〟がある。取引先の銀行として、あの〝経営の神様〟松下幸之助さんと対面。また、手形や小切手が広まっていない時代に支店から中之島の本店まで黒塗りのセドリックに警官とともに乗車して1億円を運んだこともあるそうだ。


 今年4月にはこれまでの活動が認められ、東久邇宮記念賞を受賞。さらに9月には東久邇宮文化褒章も贈られた。これらは社会、文化、経済、政治などで功績のあった人物を顕彰するもので、高松宮賞、秩父宮賞とともに三大宮様賞と言われている。


 「今度、令和万葉集が出されることになり、一般の部から800首が選ばれるそう。もちろん、すぐに応募しました。何事も挑戦ですよ」


 どこまでもエネルギッシュで人生を楽しむ作州人がそこにいた。
 ふるさとへ想いを繋ぐ遠花火(鴨川)
   (山本 智行)

 ◇内田満(うちだ・みつる)1937年(昭12)2月23日、津山市生まれの83歳。津山商では体操部、演劇部などに所属。卒業後は住友銀行(三井住友)に入行し、大阪府下で営業を担当。そのかたわら俳句、絵画を楽しみ、東久邇文化褒章など数々の賞を受賞。「近畿作州会」のを立ち上げにも尽力した。また岡山県に依頼され観光大使、企業誘致のプロジェクトマネージャーを務めた。


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