国の文化審議会が24日に文部科学相に答申した岡山県英田郡西粟倉村の「智頭往来志戸坂峠越」が国史跡に指定される見通しとなった。これにより県内の国指定史跡の件数は計48件になる。
智頭往来志戸坂峠越は古代以来の主要街道で、平安時代の書物にも登場し、江戸時代には鳥取藩の参勤交代にも使われた。2008年には鳥取県の中原・樽見・駒帰地区の約2.5キロの古道を指定。今回新たに南東隣接部の約1.1キロ、8万8928平方メートルが追加される。
2018年の西日本豪雨で山林の石垣や道路が崩れたのを機に、21~23年に修復工事、発掘調査をした結果、1885~87年(明治18~20年)に国道として改修工事を行った箇所であることが判明。明治政府が国家戦略として打ち出した国道整備が、地方まで早期に貫徹されていたことを具体的に示す遺跡であり、現道の間に部分的に残っている道路については、重複関係と路面構造から、江戸時代以前のものと推測され、当時から現在までの重層的な改修、利用の歴史を読み取ることができ、交通史を考える上でも貴重という。
同村教委は「既指定地域と連携し一体的に保護しながら、多くの人に訪れてもらえるようイベントへの活用なども考えていく」としている。