県古代吉備文化財センターが発掘調査している平福の勝負峪遺跡で、約2000年前の弥生時代の木棺(もっかん)墓群が出土した。2018年1月から行っている同所の3古墳群など一連の発掘で、同時代の墓が見つかるのは今回が初めて。
遺跡は皿川の西側の丘陵にあり、桑山古墳群5号墳と並行して本年度、発掘が進められている。木棺墓群は丘陵の鞍(あん)部に位置し、約10キロ四方の区域にこれまでに14基発見。大人の墓が11基、それより小さい子どもの墓が3基確認されている。今後の調査でさらに発見される可能性があるという。
木棺墓は地面に長方形の墓坑を掘り、木の板を組み合わせた棺に遺体を納めて埋葬したもの。底面に小口板を差し込んで固定するための細長い穴が2カ所あり、くぎは使わず、側板とふたを合わせて箱型にしたと考えられる。墓坑の大きさは大人用が長さ約2メートル、子ども用は約1メートル。深さはともに40〜50センチほどある。人骨や副葬品、木棺そのものは見つかっていない。
墓が作られた詳細な時期は分からないものの、同センターは弥生中期と推定している。葬られた人物については、年代幅は不明ながらも集団で墓を形成していることから、家族や近い関係の人たちが想定されるという。
調査を担当している尾上元規総括副参事は「木棺墓群は想定していなかった発見。昨年、桑山古墳群の調査区域で弥生時代の住居と集落跡が発見され、今回、新たに集団墓の存在が明らかになった。今後の調査で墓の構成といった全体像や集落との関係などが分かっていくことに期待したい」としている。
また、丘陵の頂部では建物の柱穴、焼けた土と炭が出土し、性格や時代などは不明。
同センターは、国道53号・津山南道路の整備に伴い、佐良山古墳群の一部である桑山、桑山南、細畝の3古墳群と、勝負峪遺跡を発掘している。
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1これまでに14基の木棺墓が出土した平福の勝負峪遺跡の発掘現場