画家で元国画会員・国展審査員だった故植月正紀さんの遺作展が17日、岡山県津山市新魚町のアルネ津山4階・市立文化展示ホールで開催。独自の世界観で描いた作品群が郷土の画人の足跡と人柄をしのばせている。新型コロナウイルスの「緊急事態宣言」を受け、20日までの会期は急きょ17日のみとなった。
植月さんは16歳のころに絵を描き始め、病のため2018年に81歳で亡くなるまで絵画制作に取り組んだ。緻密さが際立つ個性的な作品は海外からも評価され、さまざまな賞を受けた。
会場には1956年から他界するまでの油彩を中心に88点を並べた。代表作「樹木」シリーズは、空に向かってそびえ立つ木の姿を大胆な構図と細かい筆遣いで描き出し、あふれる生命力と神秘的な雰囲気を感じさせる。
未完の作品では「鶴山公園桜満開」があり、ピンクに染まった津山城を優美に表現。ほかにもヨーロッパの港の風景や想像へといざなうような抽象的な作風、市内の懐かしい風景を描いた水彩画も。
残りの会期は自粛期間開けの延期を検討中。妻のすみ子さん(63)は「画業の最終章として、多くの人にもう一度作品を見てもらいたいと企画した。大きな病気に襲われながらも復活してきた彼の人生を感じてほしい」と話している。
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植月さんが残した多彩な作品に見入る来場者