津山市在住の写真家・柴田れいこさんの作品展「届かぬ文 戦没者の妻たち」が真庭市蒜山上長田の蒜山郷土博物館で開かれている。夫を亡くし、重苦に耐えながら戦後70年を強く生き抜いた姿が来館者の目を引きつけている。29日まで。
会場には2012〜14年の間に当時88〜102歳だった県内の女性54人を撮影した肖像写真54点を展示。インタビューで語られた後悔の念や苦しみ、現在に至るまでの心境を記した文章を添えている。
遺影を手にして座る女性、庭先の花の前でたたずむ女性たちの表情は穏やかだったり、硬く口を結んだりさまざま。貧困の中、子どもたち育てた苦労や、夫の死が信じられず待ち続けた孤独などがつづられた文は、風化させてはいけない戦争の無残さを伝えている。
前原茂雄館長は「女性に対して厳しい時代で、夫を失った場合、精神的にも経済的にも追い込まれた。一人ひとりの顔を見ると、言葉で表せないくらいの辛さを乗り越えてきたのが感じ取れる。戦争がいかに多くの悲劇を生むのか知るきっかけになれば」と話している。
14日午後1時半からは柴田さんを迎えた座談会や本人による展示説明会などが開かれる。このほか、現代美術家・柴川敏之さんの作品と遺跡の出土品がコラボレーションした「41世紀の古墳ミュージアム」も開催している。
蒜山郷土博物館 写真家・柴田さん「届かぬ文 戦没者の妻たち」作品展