岡山県美咲町の藍染師・渡邉洋美さん(58)の個展「冴ゆる藍—真冬の夜空の如—」が、同県津山市川崎のポートアート&デザイン津山で開かれ、素材が持つ美しい色合いを生かした秀作が来館者を魅了している。1月28日まで。
津山市に生まれた渡邉さんは30代で藍染めに出会い、その後、修行や研究を重ねながら約18年間、さまざまな作品を作り続けている。2016年には、岡山県美術展の県展賞を獲得するなどの経歴を持つ。今回は近作約200点を出品。
会場には山梨県の伝統織物「甲斐絹」をはじめ、天然繊維の布を染めて仕上げたタペストリーや飾り、小物がずらり。染液に漬ける回数によって濃淡を調整し、絞り染めの技法で模様を作るなど一つの染料から多彩な色や表現を生み出している。
「藍灯—祈り—」は青色が持つ心理的効果に着目し、「人の心を癒やしてほしい」と願いを込めた大作。このほか、横野和紙や珪藻土を活用し、独自の作風を追求した意欲作もあり、訪れた人たちはじっと見入っていた。
渡邉さんは「発酵させて使用する藍は生きている染料とも言われ、使い方によって豊かな表情を持つ。色彩や表現の違いなどを感じ取って楽しんでもらえたら」と話している。