岡山県真庭市の蒜山地方に伝わる「がま細工」作りが最盛期を迎えている。雪に閉ざされる冬の仕事として受け継がれ、昔ながらの手作業で仕上げられる民具は、素朴な風合いにぬくもりがあふれる。
南北朝時代からの歴史を持ち、県の郷土伝統的工芸品に指定。丈夫で防水性にも優れていることから、雪国の生活に欠かせないさまざまな用具が作られてきた。
蒜山蒲細工振興会の女性たちが蒜山下徳山の作業場で製作。蒜山産のヒメガマと、シナノキの樹皮から作った小縄を材料に、専用の木製道具を使って丁寧に編んでいく。手さげかごや、小物入れ、鍋敷き、ぞうりなどがあり、「使えば使うほど手になじみ、味わいが出てくる。これからもがま細工の伝統を守っていきたい」と杉村礼美さん(54)。
作業は4月末まで続き、地元の道の駅や観光施設のほか、東京のセレクトショップにも並ぶ。