岡山県内のデザイン事務所所属のイラストレーター・丸山葵生さん(18)の初個展「エリカに揺れて〜金子みすゞに捧ぐ〜」が、同県鏡野町竹田のぺスタロッチ館で開かれ、優しい色使いの絵が来館者の目を引き付けている。20日まで。
丸山さんは高校生の時にうつ病と解離性障害を発症し、学校を中退。闘病生活を送る中で、大正末期から昭和初期にかけて活躍した童謡詩人・金子みすゞの作品に出合い、感銘を受けて創作を始めた。同展は、丸山さん自身も経験し、克服した「ひきこもり」といった社会問題への理解を深めてもらおうと、同町のデザイン・出版会社「Nytt」(武本幸典代表・編集長)が企画した。
会場には、「星とたんぽぽ」「橙の花」などの詩を基に制作したイラスト15点などを展示している。パソコンで描いた線画に水彩絵の具を使って仕上げたみずみずしい少女の絵がずらりと並び、訪れた人たちは一点一点じっくりと眺めていた。
鏡野南小6年・竹原綾さん(11)は「女の子の顔をあえて描いていないのが気になった。表情を想像することで絵のイメージががらりと変わるから、見ていておもしろい」。姉の美桜さん(14)=津山中3年=は「才能を生かして作家自身の問題を解決したのはすごいと思う。現在もひきこもって悩む人たちの目標になれば」と話した。
17、18日は、午前10時から午後4時まで、同町役場総合福祉課による引きこもりに関する相談窓口を開設している。丸山さんは「地域の福祉に貢献できるチャンスに巡り合えたことをうれしく思う」とメッセージを寄せている。