神が乗り移った「ゴーサマ」が暗闇の境内を駆け回る、岡山県久米郡美咲町、両山寺の奇祭「護法祭」(県重要無形民俗文化財)が14日夜に行われ、大勢の参拝者が天下泰平や五穀豊穣(じょう)を祈願した。
起源は鎌倉時代の1275年で、今年で750回目の節目。護法善神という神が鎮守する土地を見回るため人に乗り移り、身心が不浄者は捕まって災いが降りかかると言われる。
ゴーサマの呼び名で親しまれる護法実(ごほうざね)は、11年連続で津山市出身の白川晃太郎さん(52)=大阪市=が務め、1週間寺にこもり、修行してきた。
本堂で修験者の祈祷(きとう)が続き、ほら貝と太鼓の音が激しく鳴り響く中、深夜0時45分ごろ、護法善神の使いであるカラスの憑(つ)いたゴーサマが飛び出し、“お遊び”の始まり。たいまつの炎だけが境内を照らす中、鳥のように手をはばたかせながら、お付きの人の「ギャーテー、ギャーテー」の呪文とともに縦横無尽に駆け回った。
お遊びは30分ほど続き、訪れた人たちは捕まらないよう逃げ回った。
東京から見物に来た20代の女性会社員は「友だちに誘われ、珍しい祭りを見たいと思って来た。とても神聖で、ゴーサマがこっちに向かってきた時は死ぬかと思った」と話していた。
日中には、750回の記念事業・ご神体修復の「のみ入れ式」が行われた。クラウドファンディングで全国各地から多くの支援が寄せられた。
