岡山県津山市の日本和装友禅講師・赤松梢さん(76)の染色工芸作品「鳥たちの楽園」が第110回記念「光風会展」で入選した。本友禅の技法を使い、約20工程ある作業を1人で行って完成させた秀作で「どの手順も失敗のできない緊張の中でつくった作品を評価していただき、うれしい」と喜びの声を語る。
光風会(東京都)は1912(明治45)年に、洋画団体・白馬会に属した中澤弘光ら6人の画家と図案家・杉浦非水によって結成されたのが始まり。「特別な主張や抱負、看板を持たず、隠れた無名の花を自由に紹介する」をスローガンに、作家の登竜門となる公募展を毎年開催。優れた画家や工芸家を輩出している。
今回の入選作は縦約150センチ、横約80センチの大作で、自宅の庭で見かけた光景から着想を得て制作。冬の日差しが降り注ぐ朝、赤いサンシュの実を食べに鳥たちが集まってきた様子を表しており、一羽一羽の色合いや表情、動きにこだわりつつ、青色の背景に色鮮やかな姿が際立つように仕上げている。
赤松さんは今まで200点以上を作り上げ、日本現代工芸美術展の新人賞受賞、日工会展、新匠工芸会展入選といった多数の経歴を持つ。「目標を定めることで、作品との向き合い方も変わり、創作に打ち込める。できる限り作品展への出品を続けていきたい」と今後の活動にも意気込みを見せる。
現在は学んだ技術を若い世代にも伝えていきたいとして、毎週火曜日午後1時から3時まで自宅で教室「花友禅の会」を開いている。「1作品仕上げるのは大変だけど、完成品を見ることでやりがいや奥深さを感じられると思う。染色について知らない人も1度体験してみると違った世界が広がるかもしれない」と話している。
問い合わせは、赤松さん(TEL:0868-22-2073)。