岡山県津山市の職員有志が、在宅用の人工呼吸器を使う筋委縮性側索硬化症(ALS)などの患者向けに、災害による長時間の停電時、乗用車から部屋に直接給電できる長さ15メートルの「命をつなぐケーブル」を製作した。
市内在住のALS患者の家族が1月、豊岡総合高校(兵庫県豊岡市)電気応用工学科3年生チームによる同ケーブル製作のニュースを知り、問い合わせた豊岡健康福祉事務所の所長が津山市健康増進課の作業療法士・安本勝博参事(53)に連絡。在宅用人工呼吸器のバッテリー給電は8時間程度で、予備を含め16時間しか持たず、市販の充電用ケーブルは長さが1メートルと短いことからニーズを知り、部署やスキルの異なる6人がボランティアで連携した。
市内の医療機器メーカーにも助言を受け、豊岡から現物を送ってもらった3月下旬から着手。市教委教育総務課の電気技師・安東賢一参事(59)が適合する延長ケーブルとアクセサリーソケットを防水の屋外用コネクターで接続し、4月下旬に完成させた。
問い合わせた患者宅で今月2日、メーカー担当者立ち合いのもと乗用車のシガーソケットと接続し、給電できることを確認。材料費のみの実費(3500円程度)で譲り、在宅療養する市内の同患者の依頼があれば作ることとした。
有志メンバーと21日に会見した安本参事は「患者さんの家族からは『ありがたい。これで安心して生活できる』と喜ばれた。市販品ではないので非常時の電源を完全に保証できないことを理解した上での要望に応じ、長さも変えられる」としている。
問い合わせは、市健康増進課(TEL:0868-32-2068)。