洋画家・故河野磐さん(1920〜2011年)の作品が並ぶ岡山県津山市の勝間田町の河野美術館で、河野さんが戦後に手がけた映画のポスターが展示され、来館者が懐かしそうに鑑賞している。
1月に入れ替えを行って15点を並べており、同館では初展示という。フランス映画の「巴里祭」「乙女の湖」「美女と野獣」、終戦後の日本映画の輝かしい1ページを飾る「わが青春に悔なし」「青い山脈」「ジャコ万と鉄」など、洋画と邦画の名作の数々を紹介。味わい深い筆遣いに河野さんが1枚1枚に込めた思いが伝わってくる。
河野さんは自分史『ポスター』に「戦後のあの頃。GHQの検閲をまぬがれた古い作品が一枚のチラシもポスターもないまま流れていた。情報を分かち合い、人々に呼びかけ、惹(ひ)きつけたかった」「当時を知る方々には、過ぎ去りし日をいとおしい思いで回顧してもらい、若い世代の方々にはこういう若者の時代があったことを知ってもらうことも無意味ではないと思う」と記している。
時代の記録としても貴重な資料だ。開館日は土・日曜日、入館無料。