【特集】今春新たな地域のシンボル誕生 「子ども第3の居場所」新設 廃校舎を活用/岡山・美咲町

行政・公共 旧旭小学校を活用した多世代交流施設の完成イメージ図(町提供)
旧旭小学校を活用した多世代交流施設の完成イメージ図(町提供)
         

 岡山県久米郡美咲町は、旧旭小学校(同町西川)の廃校舎を活用した多世代交流拠点の整備を進めている。町旭総合支所や診療所などを集約し、「子ども第3の居場所」を新設。地域のシンボルとして今春生まれ変わる。

 急速に進む少子化を背景に、同校は2023年に旭中学校と統合。新たに義務教育学校として旭学園が新築された。旧校舎は既存施設の老朽化もあり利活用に踏み切った。

 本校舎は、鉄筋コンクリート3階延べ約2547平方メートル。棟1階に総合支所や診療所、訪問看護ステーション、新書などの貸し出し、電子書籍の閲覧ができる図書ルーム、シルバー人材センターを置く。

 2階は公民館、3階に岸田吟香記念館、視聴覚室。建物中央部にはエレベーターを設けてバリアフリー化し、屋根に太陽光発電を取り付ける。体育館は町民センターとして利用を想定し、高齢者や障害者らが利用しやすいよう、土足で入れるよう改修する。

 校舎南側のランチルーム(鉄骨平屋476平方メートル)は子どもたちが家庭や学校でない場所で安心して過ごせる第3の居場所として改修を進めている。不登校の児童や生徒、放課後学習の子どもの利用を想定し、遊戯室、多目的室、学習室2室、相談室などを設ける。駐車場は約30台完備し、総事業費は約9億円。2023年11月に着工、3月の完成を予定している。

 町では地域の機能を賢く収縮させ持続可能で質の高い生活環境を実現する「スマートシュリンク」の考えに基づき、役場庁舎の建て替えを含む多世代交流拠点の新設や柵原地域を含む小中学校の統合に力を入れている。

 町内にある公共施設は、延べ床面積が全国平均の2倍以上(人口一人当たり)、年間平均6億円程度の維持管理費がかかっており、老朽化に伴いさらに費用がかさむ試算もある。公共施設の集約化で財政負担を軽減するとともに住民サービスの向上に注力する狙いだ。

 昨年一足早くオープンした同町原田の多世代交流拠点「みさキラリ」は、役場や図書館、物産センターなどが集まり、地域住民のにぎわい創出につながっている。さらに旧旭第二小学校を家具と手織りの工房としてリノベーションした「アーツ&クラフツビレッジ」として活用している事例もある。

家具と手織りの工房としてリノベーションされた旧旭第二小学校
家具と手織りの工房としてリノベーションされた旧旭第二小学校

 活用のあり方について、町は「旭みらいデザイン検討委員会」を設置するなどして住民の声を取り入れる機会を創出。地元の旭学園の子どもたちからは「オタクに優しい施設として、二次創作マンガや無限ループガチャなどを置いたらどうか」「利用者の心に寄り添える場所として冷凍食品などを販売するセルフカフェを作っては」といったユニークな提案が寄せられており、利用開始後も引き続き住民ニーズの掘り起こしを図る。

 町地域みらい課は「より良い活用方法を今後も模索しながら、幅広い世代が顔を合わせて集う拠点としてにぎわい、地域外にもその輪が広がっていってほしい」と期待を込める。

美咲町原田に新設された物産センター
美咲町原田に新設された物産センター


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