アメリカ・サンタフェ市と岡山県津山市は、1999年に姉妹都市縁組を結び、25年以上にわたり文化や教育を通じた交流を深めてきた。歴史や自然環境は異なるものの、人口規模や文化を重んじる地域性から姉妹都市となった。コロナ禍を乗り越え、ますます交流が活発になることが期待される。
サンタフェは、400年以上の歴史を持つアメリカ最古の州都であり、その文化はネイティブアメリカン、ヒスパニック、アングロ文化が融合した独特のものだ。
人口は約8.9万人。芸術と文化の豊かさで知られ、世界中からアーティストが集まり、約230のアートギャラリーが存在する。特に「キャニオン・ロード」には約1.6キロにわたりギャラリーやカフェが軒を連ね、世界中からの観光客が後を絶たない。
美しい街並みも特徴があり、砂や砂質粘土、藁などの有機素材を木製の型枠に入れて日なたで干して作られるアドビ建築が守られている。
音楽関係では国際的に有名なサンタフェオペラ、サンタフェ室内楽音楽祭が有名なほか、毎年9月第2週には、伝統的な祭として「フィエスタ・デ・サンタフェ」が開催され、街全体が音楽やダンスでにぎわう。
世界的に有名なサンタフェ・インディアン・マーケットでは、ネイティブアメリカンの芸術が披露され、多くの観光客を惹きつける。
両市の交流のきっかけは日本国際親善都市連盟から依頼されたアンケート。サンタフェ側が日本の都市と姉妹縁組を希望、同連盟に適切な都市を斡旋してほしいという要望があり、津山市も歴史と文化を軸としたまちづくりを目指しているという共通点があったことから推薦されたもの。
最近では、津山サンタフェ友好協会(江原秀国会長)による両市の学生のホームステイが交流の重要な役割を果たしている。津山市の高校生がサンタフェを訪れ、ネイティブアメリカンの伝統工芸や歴史を学ぶ一方、サンタフェの学生が津山で和太鼓や書道を体験するなど、互いの文化が共有されてきた。
また、2024年には、姉妹都市25周年を記念して津山市の代表団がサンタフェ市庁舎で再調印式を行い、両市の未来に向けた新たなスタートを切った。
これらの交流を陰で支えてきた一人が、津山を愛するジェフ・ケース博士。歴史や国際文化交流を専門とする元大学教員で、サンタフェ・コミュニティ・カレッジ財団の会計役や姉妹都市協会の理事も務めてきた。彼は両市の交流の歴史を知り、その深さと心のこもった意義に感銘を受け、交流史を執筆。「交流を重ねてきた世代にとっては関係を維持し、発展させる挑戦や刺激となるはず」と話す。
2025年の新春からは、ジェフ教授がまとめた冊子を津山朝日新聞で随時紹介していく予定だ。この冊子には、姉妹都市関係の歴史や、市民の交流にまつわるエピソードが収められている。新たな世代に向けて、津山とサンタフェの友情を再認識する機会となるだろう。
互いの文化や伝統行事を知り、絆を深めてきた津山とサンタフェ。その関係がこれからどのように発展していくのか、大きな期待が寄せられている。
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