岡山県津山市の津山信用金庫は第45回「つしん景況レポート」を発表した。同県作州地域の今期(1〜3月)の景況天気図は「雨曇り」。業況判断DI(※メモ)はマイナス2・8で、前期に比べて9・4ポイント下落した。来期(4〜6月)は、新型コロナの5類移行に伴う経済活動の活発化から改善してプラス8・0の「曇り」と予想する。
地域別DIの今期は、津山鏡野がマイナス4・4(前期比14・4ポイント減)、真庭がマイナス11・8(同15・6ポイント減)に悪化した一方、美作勝央がプラス14・3(同16・7ポイント増)に改善した。
業種別DIの今期は、不動産業と卸売業が前期比で上昇。製造業、建設業、サービス業、小売業がダウンしている。
雇用判断DIは、マイナス36・8(前期マイナス41・4)とやや改善し、来期はマイナス29・6の予想。
調査先企業のうち、金属製品製造業者からは「受注量は増加傾向にあるが、受注価格には仕入高騰分の8割程度しか転嫁できていない上、電気代が年間500万円上昇して収益を圧迫。本格的な業況回復は当面見込めない」、住宅建設業者からは「クロスなど内装材の価格上昇が止まらず、1年前の2倍になっている。水回りの設備も4月から値上げの通知があった」、自動車小売業者からは「新車納入には3カ月から1年以上かかるため、引き続き中古車のニーズが高く、価格が高止まりしている」などの声が。
飲食店からは「卵の価格が鳥インフルなどの影響による供給不足で1・5〜2倍になり、価格転嫁せざるを得ない」、酪農業者からは「飼料の価格高騰、外食需要の減少などで全国的に子牛の値段が下がり、特にホルスタインの雄は大暴落しているため、取り扱い業者は大打撃を受けている」。一方、不動産業者からは「分譲地販売が好調で増収増益となっている。賃貸物件もほぼ満席で紹介する物件がなかなかない状態」との声もあった。
今回の特別調査のテーマは「中小企業のデジタル化への対応」。「10月開始予定のインボイス制度(適格請求書等保存方式)へ向けた対応は」では、「すでに登録申請した」が89・2%、「まだ登録申請していない」が10・0%など。
「電子帳簿保存法への対応は」では、「対応できている」35・6%、「対応できていない」27・6%、「一部対応できている」24・8%、「自社には関係ない」4・0%など。「デジタル化投資の費用対効果」では「やや満足している」が53・6%、「あまり満足していない」22・8%、「不満」10・4%、「大いに満足している」9・6%など。「今後のデジタル化投資の計画」では、「拡充する予定」が56・8%、「現状維持の予定」36・8%、「デジタル化投資しない」6・0%など。
同レポートは、3カ月ごとに信金職員が中小企業経営者から聞き取り調査して分析。今回は2月下旬〜3月上旬に250社を訪ねた。
メモ【DI】「良い」と回答した企業数の割合(%)から、「悪い」と回答した企業数の割合(%)を差し引いた値。