岡山県北中心に初めて開催される「森の芸術祭晴れの国岡山」(9月28日~11月24日開催)と連携した美作大学の公開講座が、津山市北園町の同大で開かれ、アートディレクターの長谷川祐子さんが概要説明や作品の見どころを解説した。
長谷川さんは現在、金沢21世紀美術館=石川県=館長、東京藝術大学名誉教授と務めながらキュレーターとしても活躍し、各国で美術展覧会などを企画している。今回は「森の芸術祭に見出そうSDGs」と題し、開催地に県北を選んだ理由やSDGs(持続可能な開発目標)との関連性について語り、同大学生や集まった市民ら約200人が聴講した。
講義では「県北は中国山地の自然環境と人の生活とのバランスが取れており、各市町村には際立つ特徴と隠れた魅力ある歴史や文化、景勝地がある」と前置き。その上で「豊かな森の恵みと建築物などすでにある資源を活用して『新しい資本』をつくる」と強調し、奈義町現代美術館=奈義町豊沢=やつやま自然のふしぎ館=津山市山下=などで展示を予定しているアーティストたちの創作活動の現状などを語った。
後半は、同大のサークル・調理師会と芸術祭参加アーティスト・太田三郎さん=津山市北園町=が、共同で開発を進めている開催期間限定商品「柿ゼリー」を紹介。柿とアルコールを蒸発させた日本酒のゼリーに、太田さんの作風の特徴となる「種」を添えた試作品が完成するまでの経過を報告した。
講義を終えて長谷川さんは「アートを理解するというのでなく、思いがけない所ですてきな作品と出会う驚きと魔術にかかったような感覚を楽しんでほしいと思っている。作品がみんなを待っているのでぜひ行って体験してほしい」と話していた。