美術家・川埜龍三さん(笠岡市)の作品展「モノラルユートピア」が川崎のポート・アート&デザイン津山で開かれ、彫塑や絵画に音響を合わせた意欲作が来場者を異空間に誘っている。28日まで。
多様なジャンルで精力的に制作活動を展開する川埜さんが、県の「次世代おかやまアーティスト活動促進事業」の一環として約20点を出展。
新作の彫塑「モノラルユートピア」は、机の木馬に乗った物憂げな少年をグレー一色で表現し、馬の背をゆらぐ水面に見立てている。ポップアート風の絵画「青い青の中のカラス」、コラージュ「水中探索」といった平面作品、淡々としたイメージの音響も相まって不思議な世界観を醸す。
さらに大作の彫像「静けさが螺旋に触れる」は、人物と植物などが融合した空想的な生命、繊細な質感表現がインパクトを放つ。
倉敷市の画家・時実月夜さん(41)は「少年の表情と水面のさざ波が印象的な彫塑を、ゆったり響いてくる音色がより際立てている。この白い部屋、レンガの部屋も作品との相乗効果がいい」と話した。
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モノラルユートピアに見入る来場者
アート&デザイン津山 川埜龍三さん作品展「モノラルユートピア」