和田デザイン事務所(和田優輝社長、岡山県津山市下高倉西)が手掛ける「わたしのいきかた手帳」と市内の高校生らが城下町をフィールドに社会実験や企画を行うプラットフォーム「つやま城下ハイスクール」が、総合的な本年度のグッドデザイン賞をダブル受賞した。
「わたしの生き方手帳」は、自身の今後の医療や介護の希望について話し合う「アドバンス・ケア・プランニング」を行うために開発。「手元に置きたいデザイン・質感」「段階的に考えるしかけ」「自分の気持ち・道しるべの見える化」に重点を置いた。サイズはレギュラー(縦21センチ、横約15センチ)、ミニ(縦約15センチ、約10センチ)の2種類で、深緑を基調としている。
選評では「医療や介護従事者目線だけでなく、いかに利用者が最後まで自分の人生を全うするのを後押しするかという視点で作られている。気持ちの揺らぎを書き留められたり、決め切らなくても良いというデザインは、その間にこそある豊かな感情の思いを伝え、対話を生み出すことが実感を持って感じられる。さらなる普及を期待したい」などとしている。
つやま城下ハイスクールは2021年に発足。これまで津山市内82人の高校生、高専生が参加し、まちづくりについて行政や教育機関、地域企業などと連携し実践的に学びながら挑戦。11月には「晴れの国・岡山 森の芸術祭」との連携企画で森本慶三記念館(山下)で写真展を開催した。
選評では「進学や就職のために地域を離れざるを得ない『18歳の崖』。未来の担い手がいなくなる地域での長年の課題の解決につながるかもしれない。取り組みで芽生えたシビックプライドがいつか大きな花を咲かせることを信じ、あきらめずに継続してほしい。失敗を恐れずチャレンジする若者を応援する地域はそれだけで最高」と称えている。
和田社長(46)は「先進的な取り組みまで評価いただけたことは大変うれしい。『デザインで社会を明るくする』をモットーに、津山のまちから未来へみなさまと進んでいきたい」と話している。
同賞は、1957年創設のグッドデザイン商品選定精度を前身とする日本で唯一の総合的デザインを評価する仕組み。公益財団法人日本デザイン協会が優れたデザインの物事に贈るため1957年に創設された。