台湾から来日した乳がん患者の訪問団が6~12日に美作地域へ滞在し、日本文化を取り入れた心と体のリハビリ交流に取り組んでいる。その一環として7日と10日、岡山県津山市山下の津山文化センター練習室で舞踊集団「宮坂流」のレッスンを受け、異国での新たな挑戦に胸を躍らせた。
訪問団を支えるのは台湾の医療関係者で構成されたチームで、国として乳がん患者支援に取り組んでいる。参加者は60~70代の女性10人で、温泉療法や和太鼓演奏に挑戦したほか、台湾で人気の宮本武蔵ゆかりの地「大原」も訪れ、文化交流を深めている。
宮坂流のレッスンでは、二代目家元の宮坂一樹さん(29)らスタッフ計4人が指導にあたり、腕を大きく使う銭太鼓と傘踊りに挑戦した。10日は傘踊りを中心に丸一日じっくり練習。傘の扱い方を繰り返すうちに表情は次第に明るくなり、美空ひばりの「港町十三番地」を踊り切れるまでに仕上げた。最後はそれぞれお気に入りの浴衣姿で堂々と披露し、会場には大きな笑顔が広がった。
参加者は「すごくうれしい」「台湾でもやってみたい」「健康に良いと感じた」と感激した様子。一樹さんは「楽しんで、元気よく、自分を表現する喜びを味わって」と励まし続けた。
指導者でミュージックケア専門家の劉美利さん(54)は「音楽と踊りには不思議な力がある。みんな前向きに心の壁を破っていった。津山での挑戦は特別な体験になった」とほほ笑んだ。
