事故レポート田町/岡山・津山市

事件・事故 事故レポート田町
         

 「交差点であることを強調した方がいい」「日ごろから横断者がいると認識してもらえるようにしなければいけない」…。
 ここは、「奴通り」と「鶴山通り」を一直線に結ぶ岡山県津山市田町の市道(制限速度30キロ、道幅約7メートル)。津山署交通課と市土木課の職員ら6人が3日午前、交通死亡事故が発生した鶴山通り方面の道路の改善策を話し合った。
 見通しが良い片側1車線で、対向車線側に細い路地があり、丁字路になっている。横断歩道はあるものの路地より前方にある上、色が薄くなっており、近付くまで交差点と分かりづらい。
 交通事故は、5月22日午後4時10分ごろに発生。自転車に乗った市内の70代男性が軽四自動車にはねられ、頭を強く打って亡くなった。同署によると男性は自動車と同じ方向に進行。詳しい事故原因は調査中だが、車は追い抜こうとし、自転車は横断するために進路を変え、ぶつかったとみられる。自転車の右ハンドルと自動車のバンパー左側には傷が残っていた。
 道交法では、自転車は自転車横断帯が無い道においては、他の交通を妨害する恐れがある時に横切ってはならないと定められている。進路を変更する場合は本来、合図もしなければいけない。横断歩道については、許容されている程度にとどまるが、歩行者と変わらないぜい弱性を考えれば、通行者優先でドライバーの減速、停止義務がある横断歩道を渡る方が安全といえる。
 対して、自動車が自転車を追い抜く際の規則はない。ただ、他人に危害を及ぼさない速度と方法で運転しなければならないという「安全運転の義務」があり、歩行者の接近時の規定と同様、徐行と間隔の確保が求められる。適正な間隔としては、後方から歩行者のそばを通る時に保つべき1.5メートル以上は必要といわれる。
 同署交通課の古米秀充課長は「ドライバーは通行者の動向に注意を払い、自転車は進路を変える際に周囲をよく見れば衝突は防げる」と指摘する。
 今回の事故現場の改善策は、双方の状況と交通規則を踏まえて検討された。
 色が薄くなった横断歩道は引き直し、路地の位置にかかっていた停止線は、手前で右折する人がいることが想定されることから、7メートル下げた上で、強調するために緑色の舗装を加える。道路脇には自転車への注意を引かせる標識を設置し、路地の入口付近には丁字路と認識させるTの字も入れる。順次施工して8月ごろには完了する見込みだ。
 同署によると、この交差点付近では過去10年間に人身事故はないが、地元の人はこの辺りでの発生リスクが近年高まったと感じている。現場となった田町2区の木下健二町内会長は「建物の密集地で交差点が多い。時代の変化とともに交通量は減ったが、その分スピードを出す車が増えた」と話す。
 昨年1年間に発生した自動車と自転車の人身事故は、県内が768件で同署管内が26件。今年1〜5月は県内で263件、管内で15件あった。
    (随時掲載)
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死亡事故が発生した田町の市道で改善策を話し合う署員ら


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