アテネ五輪(2004年)100メートル背泳ぎ、400メートルメドレーリレーで銅メダルを獲得し、4年後の北京五輪でも活躍した元競泳日本代表選手・森田智己さん(40)による授業が3日、西粟倉小学校=岡山県英田郡西粟倉村=で行われ、4~6年生計32人が技術向上に励んだ。
子どもたちの基礎体力やスポーツへの関心を高めることを目的に五輪メダリストや元プロ選手らが来校して講師を務めるスポーツ庁主管、日本テレビ運営の「アスリート全国学校派遣プロジェクト(アスリーチ)」の一環で実施した。
森田さんはプールに入って泳ぎを披露したほか、平泳ぎの正しい姿勢と動きを指導。特に足で水を蹴って水中を進む際に、足首が水平に伸びた状態、いわゆる「あおり足」にならないようアドバイスした。さらに、足の裏で水を蹴れるよう足首の曲げ方を強調。また、水を蹴る時の足の動きについてもわかりやすく説明した。児童たちはしっかりと耳を傾け、教わった通りにできるように何度も練習していた。
6年生の関あやなさん(11)は「少し泳ぎやすくなったように感じる。悪い姿勢も直せたから今度からはすいすいと泳げると思う。詳しく教わることができてよかった」と話していた。
授業の後は校内の多目的広場で講話があり、森田さんは選手時代を振り返りながら「誰よりも練習し、早く泳げるように研究を重ねてきたけど努力したとは感じていない。結果が残せたのは好きなスポーツに打ち込んできたからだと思う」と述べ、その上で「好きなことを楽しもうと思う気持ちが、苦手や困難を乗り越えるエネルギーを生む。ぜひ自身の好きなことを見つけて全力で楽しんでほしい」と呼びかけた。
森田さんは現在東京都を拠点にし、全国各地に赴いて水泳指導にあたっている。「泳げる技術を身につけるということは水難事故に遭った際に自分の身を守ることにもつながる。学校でプール授業が減ってきている中、泳げない子どもが増えていくのは水泳に関わってきた人間として食い止めていきたい」と語っていた。
