先本廣司さん「街頭紙芝居」

医療・福祉
         

 昭和30年代にかけて子どもたちの娯楽として親しまれた「街頭紙芝居」を復活させ、地域を盛り上げている人がいる。高野本郷の先本廣司さん(71)。スマホの普及やコロナの影響などで人々の交流が希薄になる中、「直接言葉をやりとりする昔ながらのコミュニケーションを再生させたい」。8日には大阪市で開かれる「なにわ紙芝居寄席」に出演する。
 先本さんは元看板製造業。手描きで看板を作っていた経験を生かし、アクリル絵の具で描いた紙芝居、自転車の荷台に載せる木製の舞台などを手作り。自転車を黒く塗り、服装も忠実に再現し、1年前ほどから本格的にイベントなどで上演している。
 テレビの普及とともに姿を消した昭和の紙芝居おじさん。子どものころ先本さんもお小遣いをもらって水あめなどを買い、夢中になって見ていたという。「楽しさだけではなく、おじさんが『小さい子は前』『宿題しろよ』と、しつけをしていたのを覚えている。今では失われたコミュニティがそこにあった」。
 上演する作品は懐かしのヒーロー「黄金バット」、地域の民話「さんぶたろう」など10話で、さらに製作中。拍子木や太鼓などで効果音を出し「黄金バット参上!」「いざ勝負だ!」など、声色を変えて一人で役を演じる。人権紙芝居を交え、いじめの問題についても訴える。
 コロナでダメージを受けた地域への思いから、美作市の湯郷温泉の旅館やイベントで披露し、観光地を活気づける。毎回好評といい「子どもだけでなく大人にも新鮮な反応で見てらえるのがうれしい」。3日には、福島県などの親子が津山で保養するプロジェクトが行われている久米ロッジ(神代)を訪問。子どもたちは引き込まれるように見入り、楽しいひと時を過ごした。
 大阪での寄席は北区の中之島公会堂で開催。プロの紙芝居師たちが集うもので、先本さんにも声がかかった。「世界に誇る紙芝居。目の肥えたお客さんたちの前で演じ、プロの技などをしっかり勉強したい」と意気込む。
 津山でもさらに活動を展開したいといい「依頼があれば子供会、町内会、老人会、イベントなどあらゆる場所に参上します」と話している。
 問い合わせは、先本さん(☎090―7992―8982)。


紙芝居を披露し、子供たちを楽しませる先本さん=福島県などの親子の保養プロジェクトで


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