県古代吉備文化財センターは、岡山県津山市福田の国道53号沿いにある福田湯田遺跡で発掘調査を行っている。昨年度の調査では皿川の古い流路の変遷が判明し、約1400年前の古墳時代後期の川辺で祭祀(さいし)に利用されたと考えられる土器が20カ所以上で見つかった。
調査区は皿川の東側に位置。調査では古墳時代後期以前、古墳時代後期、古代(約1400〜800年前)の三つの時期の古い川の流れが確認された。上流から運ばれた土砂の堆積から、皿川は今の姿に落ち着くまでに幾度も流れが変わったとみられる。
古墳時代後期(6世紀後半〜7世紀)の流路では、土師(はじ)器の甕(かめ)や高杯など完全に近い形の土器が多数出土。当時の川岸や中洲に置かれた状態のものが20カ所以上で見つかり、使用痕がほとんど見られないことから、水辺の祭祀に用いられた可能性が考えられるという。周辺には古墳時代後期の古墳が数多く分布していることから、これらを築いた人々との関連がうかがえる。
流路は13世紀前半までに埋まったとみられ、その後に建てられた中世とみられる掘立柱建物を数棟検出した。鎌倉時代の終わりごろには周辺の地盤が安定し、土地利用が進んだと考えられる。
調査は国道53号・津山南道路の整備に伴うもので、本年度は古墳時代後期と古代の二つの流路が交わる箇所を調べる。鉄製の刀子や土器などが出土している。團奈歩総括副参事は「昨年度と同様に祭祀を思わせる痕跡の出土を期待したい」と話している。
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