1532年(天文元)年美作国一ノ瀬城主・竹内久盛が創始した「竹内流古武道(竹内流捕手腰廻小具足)」の史跡巡りツアーが16日、同流派開眼の地とされる岡山県久米郡美咲町西垪和・東垪和の三宮八幡神社を出発点に開かれ、愛好家らがゆかりの地域をめぐり、武道の歴史について理解を深めた。
日本柔術の最古と言われる同流派と旧美作国垪和郷(現美咲町、久米南町、岡山市北区建部町)の歴史に興味を持ってもらおうと竹内流史跡保存会が初めて企画。24日まで美咲町で開催している「美咲森芸2024」の一環で実施し、県内外の観光客や美咲町旭地域の子どもたち計約50人が参加した。
一ノ瀬城跡(美咲町栃原)では、築城した城が敵対する備前国の戦国大名・宇喜多直家の勢力によって落城するまでの流れや、久盛の息子・久勝や孫・久吉が修行で各地を回りながら名声を高め、天皇から「日手捕手開山」の称号をたまわって竹内流が発展していく話に耳を傾けた。本丸跡に建てられている御社に移動し、摩利支天や愛宕(あたご)神がまつられている様子を見て回った。
さらに流派発祥の地・竹内流宗家本部(岡山市建部町)=県指定史跡=を訪ね、14代目・竹内藤一郎師範にあいさつして道場の様子を見学。三宮八幡神社では久盛の愛宕神への信仰と流派の始まりなどについて講義を受けた。
地元の歴史について学ぼうと参加した美咲町東垪和の髙井満雄さん(80)は「山奥に立派な城や道場が建てられたのも驚きだったが、それを現在も大切に守っている人がいるのもすごい。大変興味深くおもしろい話が聞けた。さらに勉強したいと思う」。同保存会長で三宮八幡神社の矢木康敬宮司は「遠方からも参加していただき、ありがたく思う。垪和郷の歴史や久盛公について地元の人たちにも高い関心をもってもらい、保存や普及活動につながっていけたらうれしい」などと話していた。