岡山県美作市を舞台にした映画「風の奏の君へ」のDVD・ブルーレイの発売を記念し、劇中で繰り広げられた利き茶の大会を再現した「美作茶香服大会」が5日、美作市湯郷の湯郷地域交流センターで開かれた。映画を手がけた湯郷出身の大谷健太郎監督(59)も参戦し、参加者と日本茶の奥深さを堪能。
映画の世界を楽しみながら、県内有数の茶所としての同市の魅力を知ってもらおうと、美作青年会議所が昨年始めた企画で、みまさか観光局が引き継いで主催。美作、岡山市、勝央町に住む9~88歳の23人が挑戦した。
試合は7、8人に分かれて予選3試合と決勝戦を実施。美作市をはじめ、宇治(京都府)や八女(福岡県)など用意した煎茶5種類を飲み、色合いや香り、味わいをたよりに産地を当てるのがルールで、5種にはそれぞれ番号の代わりに「花」「鳥」「風」「月」「客」の文字が割り当てられており、提供された順番にその文字が記された木札を並べ、正解数を競った。
試合が始まり、参加者は真剣な面持ちで配られた茶葉を嗅いで香りを確かめた後、運ばれた煎茶を観察してじっくりと試飲。選び直しができない上、違いを見極めることが難しいことから、顔をしかめて悩む様子も見られた。
苦戦を強いられる中、初参加で優勝を果たした会社員・貞盛倫生さん(60)=美作市下香山=は「神経を研ぎ澄ませて頑張ったが中盤からは味がわかりにくくなり、最後は勘に頼ってしまった。けど、今回出場して普段飲んでいるお茶に興味が湧くようになった。もっと味わって飲むようにしたい」と話した。
4位という健闘ぶりだった大谷監督は「想像したよりも楽しくてつい熱くなった。正解を当てる難しさを体感することで登場人物の気持ちにより近づいたと思う。今後も大会が続き、多くの人が参加するようになれば。それに加え、美作市が他に劣らない品質の茶葉を生産しているということも知ってもらい、市民の皆さんが誇りを持つようになってほしい」と語った。
