吉田照子さん本出版/岡山・津山市

歴史・文化
         

 岡山県津山市椿高下の吉田照子さん(68)が、詩画集『曙光Ⅱ』を自費出版した。2年半前に他界した夫・裕圀さんの水彩画と、照子さんの詩のコラボレーション。「2人で紡いできた約30年の物語をまとめました」と話している。
 詩画集は結婚から8年間過ごした東京時代編と、照子さんの母親の介護のため二人で津山に引っ越ししたのちの津山編の二部構成。水彩画21点と詩25編を収めている。
 収録している裕圀さんの作品はほとんどが水彩画の花。裕圀さんはパリ留学経験がある元日展会員の実力派で、結婚後は「特に一輪の花に対する小宇宙に魅せられ、水彩画を中心に描いていた」という。「パリ派を思わせる、洗練された、パーソナルな画風が魅力でした」と照子さん。
 照子さんの作品は、「春告花」「おしゃべりなヒヤシンス」「ガーベラパラソル」「福寿草」―など、やはりその多くは花がモチーフ。〝お月さまの子供達は 待ちに待っていたかのように 黄金色の虹の橋を渡って 地上の草原に降りていきました〟(ムーン・フラワードゥリーム)―。自由自在に駆け巡る、奔放な想像力が持ち味で、心象風景を平易な言葉で丁寧に紡ぎ出している。
 子どもができたら、夫の花の絵と私の詩で読み聞かせをしたいー。そんな思いから二人のコラボは始まった。二人は子どもに恵まれなかったものの、インスピレーションを与え合いながら創作を続けてきた。
 本書は7年前、銀婚式の記念に上梓した俳句集『曙光』につづく夫婦の合作。前作ではやはり照子さんの俳句に裕圀さんの水彩画が華を添えた。当時から裕圀さんは闘病中で、出版後「照子さん、再び何か本をつくりたいですね。夢の続きに出会っていたいなあ」と、今作の実現に向け夢を温めてきていた。
 表紙はアジサイの絵が飾っている。「裕圀さんが一番好きな花はアジサイでした。雨季のころになると毎年夢中になって連作に取り組んでいました。この時期に出版できたことをとてもうれしく思います」と照子さん。「この一冊の本を胸に抱きしめて、有限なる時間を、生き生きと生きていきたい」。
 詩画集はA5版、95ページ。津山朝日新聞社で印刷した。
 問い合わせは、吉田さん(℡0868-24-7073)。
写真
自費出版した詩画集『曙光Ⅱ』を手にする吉田さん


>津山・岡山県北の今を読むなら

津山・岡山県北の今を読むなら

岡山県北(津山市、真庭市、美作市、鏡野町、勝央町、奈義町、久米南町、美咲町、新庄村、西粟倉村)を中心に日刊発行している夕刊紙です。 津山朝日新聞は、感動あふれる紙面を作り、人々が幸せな笑顔と希望に満ちた生活を過ごせるように東奔西走し、地域の活性化へ微力を尽くしております。

CTR IMG