岡山県勝央町植月北の芸術家・居森幸子さん(74)の個展「導かれるものたち―道から未知へ―」が9日、同県津山市川崎のポート・アート&デザイン津山で始まった。和紙に有機土などの天然素材を定着させる独自の技法で作り上げた意欲作に来館者たちが見入っている。24日まで。
過去作から近作まで約60点を展示。今回の新作は、上田手漉和紙工場(上横野)の「横野和紙」「箔合紙」で仕上げた新作「作州に咲くペーパーワンダーガーデン」。立体的な直径1.5メートルの花が目を引き、その裏側にはドライフラワーや野菜などを敷き詰めて作った小さな”庭”が広がる。実際に同工場に訪れて得た素材やインスピレーションをもとに創意工夫を凝らした見応えのある一作となっている。
このほか、鳥取県青谷町の因州和紙やミツマタの皮や枝を使った縦約4メートルの大作「太陽の譜」、伝説や神話を参考に紙が日本に伝わる過程を描いた横約5メートルの秀作「紙の道」などが並ぶ。八木泉さん(74)=同市上河原=は「独創的で斬新な作風が趣き深い。これからの活躍を楽しみにしている」と話した。
居森さんは「削ったり、他の素材と組み合わせたり和紙は工夫を凝らすことでさまざまな表現ができる。作品を通してその魅力に触れ、楽しんでもらえたらうれしい」とPRしている。