岡山県津山市横山に店を構える小坂商店は、雛人形や五月人形、花火、盆提灯など季節ごとの品々を幅広く扱う。夏が近づくと盆提灯と100種類に及ぶ手持ちや打ち上げ花火が店内に並び、色鮮やかに彩られる。
昭和30年代頃に玩具店として創業し、節句のおもちゃや雑貨を扱いはじめた。2代目の小坂謙一さん(53)は「先代が少しずつ花火や提灯など季節にあわせた品を増やしてきました」と振り返る。
花火は1本からでも気軽に購入できるのが魅力で、ユニークな品も多く、毎年家族連れで訪れる常連客も多い。
今夏、人気の花火はテレビで紹介された「レモンスカッシュ」や「九州炭火」「いぬのうんち」「釣り名人」「たこおどり」のほか、パッケージされた袋に入らない長い手持ち花火など。
「仕入れの際は、値段だけでなく火花の色や形を確かめて選びます。花火で心朗らかになってほしいです」と笑顔を見せる店主。
「うちでは好きな花火を一つずつ選べるので、選ぶことから楽しんでもらえます。家族で来られると、子どもさんが一番喜んでくれるのがうれしいですね」と、店主の・ツヤ子さん(85)も目を細める。
地域の町内会などの花火行事では、子どもの人数や予算を聞き、要望に合わせた花火の販売も行う。
大型店やネット通販が普及する中、顔を合わせて、品を選ぶひとときは格別という店主。「夏ならではの花火を楽しんで、四季を感じてもらえたらうれしいです。季節の文化がこれからも絶えずに続いてほしい」と語る。
花火と盆提灯。変わらない夏の灯りが、今年も町を照らしている。
問い合わせは、同店(電話0868-22‐2724)。


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