夏の甲子園でベスト8入りを果たしたおかやま山陽高校の堤尚彦監督(52)を招いた教育講演会が16日、岡山県津山市の市総合福祉会館で開かれた。「一番大切なものは何か?〜野球を通じた国際貢献」と題して話し、「夢はあきらめなければ必ずかなう」と訴えた。
堤監督はアフリカやインド、東南アジアで野球を指導、おかやま山陽高校野球部の監督を務める傍らジンバブエの代表監督として東京五輪予選を戦った異色の経歴の持ち主。
24歳のとき青年海外協力隊員として渡ったジンバブエの貧困街で見た、素足の子どもたちがゴムボールをつぶして作ったグローブで夢中になってキャッチボールをしていた光景を振り返りながら「このとき自分の命は野球のために使うと決めた」と語った。
「世界中に野球を普及したい」、アジア連盟野球インストラクター、スポーツマネジメント会社社員、高校野球部監督として一貫した思いで野球に携わってきたことを話し、同高野球部の目標も「野球を世界に普及するために、活動を知ってもらい、仲間を増やすために甲子園に出場する。すべては世界を笑顔にするために」と述べた。
またジンバブエで出会った、当時17歳だったスラム街出身のモーリス・バンダさんが、20数年後に日本の堤監督のもとを訪れたエピソードを披露。堤監督は学費などの支援をしていた。モーリスさんは大学の教授で、ジンバブエ野球協会の会長になっていた。「1人が行動すれば、世界は変わる。みんながそうすると、アフリカの貧困はなくなる。1人で見る夢は、ただの夢。みんなで見る夢は、実現への夢」と語りかけた。
講演会は国分寺保育園主催、保護者や市民約100人が聴講した。