大正・昭和の津山の風景を写した貴重な写真と、繊細な光を放つステンドグラス作品が一堂に――。岡山県津山市の城西浪漫館で4日、「江見正 大正・昭和 写真展 & 江見正暢 ステンドグラス展~記憶よりもずっと近かった」が始まった。来場者は、往時のまちの姿に思いをはせながら、光と記憶が響き合う空間を楽しんでいる。
1873(明治6)年創業の江見写真館には、三代目・江見正氏(1890~1976)が撮影した大正末期から昭和初期の津山の街並みや暮らしを記録したガラス乾板約8000枚と35ミリフィルム約8000カットが保存されている。
展示ではその中から厳選した約30点をパネルで紹介。1928(昭和3)年、石山八畳岩から津山全体をとらえた、7枚の乾板をつなげた大パノラマでは、津山城跡を中心に、城東・城西の街並みなど、当時の風景が精巧に映し出されている。転車台が津山口駅にあった時代の逆走機関車、大正末期の津山祭りや対鶴楼での結婚披露宴、サンフランシスコ平和条約が発効した1952(昭和27)年の元魚町中国銀行津山支店前でさっそうと歩くモダンな「作州美人」など、時代を映す場面が並ぶ。
「祖父が美しいふるさとを満面の笑みで撮影する姿が想像できる。懐かしい津山の風景に思いをはせていただけたら」
一方、江見さんが40年来取り組むステンドグラスの代表作13点も並ぶ。メインテーマはオールドローズ。ティファニーランプのレプリカ4点をはじめ、チューリップやケシをモチーフにした作品が並び、柔らかな光を放っている。鋭角にカットしてバラの形を際立たせる独自の技法も見どころで、最大作は幅61センチ、1400ピースで構成された大作。最新作「ツインランプ」には艶やかなバラが敷き詰められている。
「昭和ブームでステンドグラスの人気が高まっている。いいガラスの表現力を楽しんでもらえたら」
会場では1932(昭和7)年撮影の9.5ミリ映像も上映され、津山祭り徳守神社の神輿や奴行列、因美線全線開通時の記録映像が来場者の目を引いている。
城西まちづくり協議会主催で、会期は10月26日まで。本年度の美作国創生公募提案事業。
午前9時~午後5時。休館は月曜日。入館無料。
