浄土宗開祖・法然上人の生誕地の岡山県久米南町里方の誕生寺で20日、日本三大練供養の一つ、上人の両親を浄土へ迎える「二十五菩薩(ぼさつ)練供養」(県重要無形民俗文化財)が開かれ、参列者たちは厳かな行事を見守った。
室町時代より始まったとされる大法要で、阿弥陀如来の周囲にいる菩薩25尊が両親を極楽へと導く様子を再現した儀式。同寺本堂を極楽浄土とし、門前から約300メートル離れた場所にある六地蔵をまつる「娑婆(しゃば)堂」を現世に見立て、行列が2棟の間の通りを往復する。

同寺では父・漆間時国と母・秦氏を交互に供養しており、浄土宗開宗から850年になる今年は秦氏を慰霊。追恩大法要の後、黄金の菩薩面をかぶった信徒ら25人をはじめ、稚児、介添人、僧侶、詠唱隊ら総勢約100人が秦氏の像を乗せた輿(こし)・鳳輦(ほうれん)を連れて歩き、集まった地域住民や参拝者たちはきらびやかな行列に向かって手を合わすなどして祈りを捧げた。
祖父母が地域に住んでいる縁で稚児行列に参列した鶴山小3年の菅原拓海君(8)は「お姉ちゃんも昔、行列に参加していてぼくも同じように加わることができてよかった。大人になったら黄金のお面をかぶって歩いてみたいな」と話していた。
