9月に発足した菅内閣で、法務大臣政務官に任命された自民党の小野田紀美参議院議員(37)=岡山選挙区、1期=は、津山朝日新聞社で国政報告を行った。「国民目線の政務官として、国民に身近な法務行政を推進していきたい」と決意を述べた。
――政務官の役割とは。
大臣が担っている政策を分割し、掘り下げてサポートする役目を担う。各大臣政務官の中で法務大臣政務官は唯一、1人のみで運用されている。具体的には委員会での答弁を行ったり、会議や行事への出席、政策の推進などだ。
――就任しての抱負は。
歴代の法務大臣政務官は、弁護士資格所持者や法曹関係者がほとんどで、弁護士資格を持っていない自分にとっては重責だが、全身全霊で役目をまっとうしたい。法律とは法治国家において誰しもが関わるものであり、一部の法曹関係者のためだけにあるのではない。国民目線の法務大臣政務官として国民と法務行政との距離を縮め、身近な法務行政を推進していきたい。
――国民目線の法務行政とは例えばどのようなことか。
これまで私は一議員として法務委員会に所属し、養育費の未払い問題をはじめとする民事司法、適正な出入国在留管理、民事司法のデジタル化推進などさまざまな活動をしてきた。
養育費の未払い問題は、民事司法制度改革における議論の中で当初注目されなかった話題だ。だが、本当に困っているのは民事司法制度の穴のせいで養育費を受け取れていない子どもたち。議論の枠組みからこぼれてしまっている身近な困りごとを、解決していける法務行政でありたい。
併せて民事司法のデジタル化、IT化も急務だ。たとえば民事調停だと、申し立て書類の入手や提出で何度も役所や裁判所に平日休みをとって出向かなくてはならない。子どもを抱え、仕事をしないと生活できないのに、会社を休まなければならないことで申し立てを諦めてしまう人もいる。訴状や書類、証明書のオンライン提出といったIT化、効率化を推進すれば国民の利便性向上につながると思う。
――法務行政に関し、ほかにどんな課題に取り組んできたのか。
外国人の長期収容問題は議員として特に取り組まなければならない課題だ。多くの国民は入管が不当に外国人を収容していると誤解している。収容されているのは不法滞在が確定し強制送還が決定したにも関わらず、送還を忌避している者がほとんどで、きちんと国に帰るならすぐにでも解放される人たち。しかも、収容者の内訳の4割は日本で犯罪をして罰せられた前科持ちの外国人。不法滞在者の仮放免を許可し続けることは、法治国家としての法の順守を軽んじることになる。また仮放免者のうち、332人が行方不明になっていることも大きな問題だ。
新型コロナの影響で外国人の入国は止まっているが、来年五輪があるとして、多文化共生をうまく実現させるために一番大切なのは公正な法の順守。みんながきちんと法を守ってこその共生・交流なので、その根幹を揺るがすような制度の穴があれば、すぐに埋めなければならない。
――一議員として地方の発展、振興にどう取り組んでいくのか。
過疎地域に必要な一つは教育のICT化。過疎地域対策で「まち・ひと・しごと創生総合戦略」の取り組みが行われるが、それに教育は入っていない。いい住環境にプラスして最高の教育を得られる状況があれば、若い人たちの定住につながると考える。立地による子どもたちの学習環境の低下を招かないためにも、教育環境に投資できたなら親の考えは変わると思う。
本当に地方を生かすのであれば、地方こそデジタル化、ICT化を進め、格差のない教育や医療を実現しなければならない。そこに全力を注ぐことで地方と都心の格差をなくしたい。あらゆる技術を活用し、新しい世代に生き残っていくだけでなく、発展していく中山間地域を作っていきたい。
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国政報告をする小野田法務大臣政務官