法面保護工事の設計・施工を手がける岡山県津山市の「久井田工業」(髙山信美代表取締役)は、岡山大学と共同開発した雑草を防ぐ効果を長期間保持する新工法の実証実験を、津山工業高校との連携で行っている。施工実習として、同市の中央児童館(昭和公園)の法面に構造体を設置した。
同工法は、鉄筋とモルタルを用いた構造体を地面から10〜15センチの隙間を空けて設置。空間があることで雑草の根を生かしながらも成長を止めるとともに、根によって地盤の強さが保たれ、雨が浸透しても土砂が流出しないという。
従来の地面を直接覆う防草シートは破れやすく、モルタル吹き付けで被覆する技術も表面に亀裂が生じるおそれがあり、隙間から雑草が繁茂するデメリットがあった。シートなどで覆われた箇所は植物が枯れ、地盤もぜいじゃくになるという。こうした課題を解決する手法として新工法を開発して昨年12月から提供を始め、現在、岡山大学と特許を出願している。
今月、同校土木科の3年生約30人が同社の従業員に教わりながら施工実習。約30平方メートルに並べられたコの字型の鉄筋の上に鉄製の網を固定し、モルタルを塗布した。光岡青海さん(18)は「少子高齢化で人手が不足する時代なので、雑草を防ぐ効果が高いこの技術がもっと広がってほしい」と話した。
今後、同校デザイン科の生徒による構造体表面のデザインコンペも実施。デザインの選定は地域住民に協力してもらうという。