東京大学史料編纂所教授を務め、2020年に63歳で亡くなった岡山県津山市出身の歴史学者・山本博文さんの追悼講演とシンポジウム(津山郷土博物館主催)が21日、同市の津山鶴山ホテルで開かれ、市民ら約150人が多大な功績をしのんだ。
近世政治史を専門としていた山本さんと親交のあった4人が講演。
このうち堀新共立女子大学文芸学部教授は、豊臣研究を手始めに査読論文を連発して「日本史研究」など三大雑誌を制覇し、20代から著名になったプロフィルを紹介し、同行した資料調査旅行の思い出、気さくだった人柄を振り返った。
研究姿勢にもふれ「『わかりやすいということは水準を落とすことではない。むしろ問題への追及が深いほど平易な文章で書けるものだ』という言葉が忘れられない」と強調。
仕事場を四半世紀共にした松澤克行東京大学史料編纂所教授は、在職中に14冊の資料を編さんし、再調査・目録作成を手掛けた「島津家文書」は成果を基に5500通が重要文化財、1万5000通が国宝に指定された成果を説明。
「史料採訪、編さんした資料のデータベース化も含め大きな功績を残したほか、著書の執筆やテレビ出演を通じて社会に発信し、日本史学界の顔となった。あまりに早く旅立たれたことが残念でならない」と述べた。
この後のシンポジウムでは4人が山本さんの活動や思い出について語り合い、参加者は終始熱心に耳を傾けた。