岸田文雄首相は19日、地域ぐるみの子育て支援で国内外から注目を集める奈義町を訪問し、町民と意見交換をした。3月末にまとめる少子化対策のたたき台に反映させる見通しだ。
子育ての当事者と意見交換する「こども政策対話」の第2弾として実施。年間予算の約15%をその関連費に充て、19年の合計特殊出生率は2.95(同年の全国平均1.42、県平均1.95)を達成。移住化促進効果もあげている手厚い支援が魅力だ。
午後2時ごろ、小倉將信内閣府特命担当相と共に、子どもの一時預かりや世代を超えた交流ができる豊沢の「なぎチャイルドホーム」を訪問。伊原木隆太知事と奥正親町長らから取り組みについて説明を受け、ドングリや毛糸で工作を楽しむ利用者の親子と交流した。
続いて、滝本のしごとコンビニでは、奈義しごとえんの桑村由和代表理事から育児の合間に仕事ができる設備や相談環境について説明を受けながら、施設内の様子を見学した。
最後に、「今の時代に必要とされる子ども政策とは何か」をテーマに、30〜70代の町民10人から子育て環境について話を聞いた。参加者からは、在宅育児支援金や多子世帯の保育料軽減といった経済的支援の充実のほか、「住民同士のコミュニケーションが盛んで、移住者であっても孤立しない」「地域で子どもを見守ってくれるので、精神的に余裕ができる」「子どもたちに音楽を教えるのが日々の楽しみ」といった声があがった。
今後の課題として、保育施設の人員の補充や小児科や産婦人科の増設といった意見もあった。
岸田首相は「経済的支援やサービスの拡充はもちろん、国全体で子育てに参加する雰囲気をつくっていけるような政策づくりに励みたい」と話した。
このほか、文化センターであった横仙こども歌舞伎教室の公演も見学した。