国内外で活躍する岡山県出身のアーティスト・平子雄一氏(42)=東京都=の個展「IDEAL LANDSCAPE(理想の風景)」が、勝田郡奈義町豊沢の町現代美術館ギャラリーで開かれている。「人間と自然の共存」をテーマに、人と植物の視座を融合させた唯一無二の世界観が来館者を魅了している。
平子さんは「植物と人間性」を独自の視点で問いかけるメッセージ性の高い作品を発表し続け、国際的に高い評価を得ている。
人と植物、双方の視点を有する生き物として、木の頭と人の体をあわせ持つ生き物を誕生させた。二つの立体作品(横幅367センチ、同400センチ)では、森を切りひらいて家やビルを建て、湖畔を整備。頭が樹木の洋服を着た人間が時には森の湖でボートをこぎ、または道をかっぽし、犬の散歩を楽しんでいる。
絵画作品でも頭が樹木の人間がテーブルいっぱいに並んだ食事をとり、両腕いっぱいに果物を抱え、夜空に輝く星々を眺めている。一見ポップで愛らしくも、人知を超えたメッセージを雄弁に語りかけてくる不思議な世界が広がっている。
遠山健一朗学芸員は「海外で活動してきた中でたどりついた、立体でみせる世界観が圧倒的。善悪では測れない力強いメッセージが突き刺さってきます。それでいてとてもかわいいので、グッズの販売も絶好調です。あぶらの乗り切った地元出身のアーティストの作品をぜひ多くの方に見ていただきたい」と話している。
奈義町町制施行70周年記念・奈義町現代美術館開館30周年記念事業。展示会は8日まで。入館料は一般・大学生200円(高校生以下・75歳以上無料)。常設展の観覧者は通常入館料金700円のみ。
関連記事