参道が陸上自衛隊日本原駐屯地内にあって立ち入れず、容易にたどり着けないことから“幻の神社”とも言われる岡山県奈義町の「瀧神社本社」を参拝するトレッキングツアーが23日、同町で開かれ、県内外の25人が貴重な体験を満喫した。
神社本社は滝山(標高1197メートル)の標高約750メートル地点に位置し、通常は隣の那岐山(同1255メートル)を登ってから進む回り道を利用する。険しい道のりで歩いて往復約10時間かかり、向かうのは困難を極めるため、今回DMO(観光地域づくり法人)ビジット奈義が参拝できる機会を増やそうと自衛隊の通行許可を得て企画。
参加者は車で演習場を抜けて登山口に着いた後、ガイドらに続いて約2.4キロの山道を約50分かけて歩いた。神社は飛鳥時代からの長い歴史があり、道中は初代津山藩主・森忠政が寄進した鳥居などの史跡を見ながら進んで目的地に到着。本殿や奥の洞窟の中にある「石の宝殿」に手を合わせた後、そばを流れる雄滝を眺めて達成感を味わった。

神社仏閣に興味があって参加したという東京都の梅木達也さん(64)は「山登りは大変だったが滅多に来られない場所にたどり着いた時の喜びは大きい。同じ趣味の仲間たちとの会話もはずみ、楽しい時間を過ごせた」。岡山市の桑田朋美さん(56)は「手付かずの自然が残り、空気も澄んでいて清らかな気分になった。神聖さと畏敬の念を感じる場所だった」と話した。
下山した後は麓の遙拝所で祈祷を受け、二宮祥宮司(71)からの神社にまつわる話に耳を傾けた。
同神社は685年に熊野那智権現が降臨したとされる地に創建し、704年ごろに藤原鎌足の孫が現在の場所に遷宮。江戸時代には忠政公をはじめ、森家が津山城の守護神として信仰し、石の宝殿などを寄進したと伝わる。来年4月には33年に1度の御開帳日を迎える。また、山は役小角によって開山されてから修験道が普及し、霊場になったことから参道には女人結界の石柱といった史跡も残る。
