創建1200年を超える岡山県苫田郡鏡野町寺和田の圓通寺(円通寺)が本殿近くに整備していた手水舎が完成し、「落慶慶讃会」が22日、同寺で開かれ、総代をはじめとする関係者たちが祝った。
10月末に完工した同舎は、高さ約3.6メートル、幅約2.13メートル、奥行約1.65メートルで、柱などに県産のヒノキを使い、屋根は銅板葺(ぶ)きの切妻造りを採用。御影石製の水盤(高さ0.6メートル、幅1メートル)には、寺を保護した津山藩・森家の家紋と同じ「鶴丸」の寺紋が彫り込まれている。境内には古い手水舎があったが、参拝者たちの利便性を考える檀信徒らの寄付により新築した。
会には約20人が参加。総代代表として田口繁昭総務委員長(81)が「長年望んでいた、すばらしい手水舎ができ、檀家の方々にも満足していただけると思っている。建設に携わった方々にお礼を申し上げる」とあいさつ。片山弘純住職(49)と妻の慈弘副住職(45)が経や真言を唱えた後、設計・施工した大谷工務店(新見市)と浄財を寄付した檀信徒に感謝状を贈った。
片山住職は「利用しやすい場所にあるので、作法を気にせずに気軽に手を清めていただけたら」と話している。
同寺は815~16(弘仁6~7)年ごろに建てられたとされ、戦国時代の毛利軍と宇喜多軍との戦いで、毛利勢の小早川隆景の将・福田勝昌が守る枡(升)形城の落城とともに全焼。江戸時代に入り、津山藩主・森忠正から100石の寺領などの寄進を受け、推定1630(寛永7)年ごろに現在の地に再建したと伝わる。