東京フィルハーモニー交響楽団の首席ファゴット奏者で岡山県津山市出身の廣幡敦子さんが主宰するグループ(Ensemble Pastorale)による「パストラーレ木管五重奏with打楽器津山公演」(津山朝日新聞社主催)が、8月18日にベルフォーレ津山で開かれる。同グループによる地元演奏は初めてで、廣幡さんにとっては、信頼する仲間とともに故郷で音色を届ける特別な舞台となる。
廣幡さんは津山西中、明誠学院高を経て東京藝術大学及び同大学院を修了。修了時にアカンサス音楽賞を受賞後、広島交響楽団を経て東京フィルハーモニー交響楽団に入団。
「東京フィルの入団オーディションは、本当に狭き門でした」と廣幡さんは振り返る。世界各国から50名以上のファゴット奏者が応募し、まずはDVDによる審査。その後、一次選考を通過すると、100人を超える楽団員が見守る中、1人で演奏を披露するという緊張感あふれる二次審査が行われた。合格後も約1年にわたる試用期間を経てようやく正式入団となったという。
現在はオーチャードホールやサントリーホール、東京オペラシティでの定期演奏会に加え、新国立劇場を始めとするオペラやバレエ、映画音楽、アニメ、ゲームのレコーディング、歌手との共演からテレビ出演など、幅広いジャンルの音楽で年間 400回を超えるという東京フィルの舞台に立っている。

「Ensemble Pastorale(アンサンブル パストラーレ)」は廣幡さんが2021年に立ち上げた10人編成の室内オーケストラグループ。今回は、フルートの満丸彬人さん(オーケストラ・アンサンブル金沢)、オーボエの荒川文吉さん(東京フィル首席)、クラリネットのアレッサンドロ・ベヴェラリさん(同首席)、ホルンの日橋辰朗さん(読売日本交響楽団首席)に、打楽器の秋田孝訓さん(東京フィル)が特別に加わる。
「国内外で活躍する実力派の方々ばかり。奇跡的にスケジュールが合い、この公演が実現したことを本当にうれしく思います」と喜びを語る。
演奏予定曲は「花のワルツ」「カルメン組曲」「クルークハルトの木管五重奏」など。前半はクラシックの名曲を中心に、後半は親しみやすい楽曲を交えた構成とした。
「『このメロディー、どこかで聴いたことがある』という入り口から、本物の音楽の魅力に触れてもらえたら」と願いを込めてプログラムを組んだ。
さらに、舞台装飾を渋谷スカイなどでも展示を行うフラワークリエイションチーム・mimosa(ミモザ)が行う。廣幡さんにとっては、実家がフラワーショップだったこともあり、花はふるさとの原風景のひとつ。
「クラシックに馴染みのない方にも、花がそっと寄り添うことで、開演前から心がほぐれ、期待がふくらんでくれたらうれしいです」と思いを語る。
「アンサンブルには指揮者がいません。出演する仲間は特別な存在で、多くを語らずとも通じ合えます。目線や呼吸で音がつながり、感じ合い、時には仕掛け合うことで生まれる音楽は、その瞬間だけのもの。お客様ともそのひと時を共有できたら」と気持ちを話す。
80人のオーケストラの中にあっても、心に残る演奏を大切にしているという廣幡さん。「祖父が教えてくれた『弧掌難鳴(こしょうなんめい)』――片手だけでは音は鳴らないという言葉を大切にしています。人も音楽も、誰かの支えがあってこそ成り立つ。その思いを胸に、観客の皆さんとともに音色を分かち合いたいです」と締めくくった。
翌日には津山文化センターで中高生を対象とした吹奏楽クリニック、さらに鏡野町では未就学児向けの音楽体験イベントも予定されている。
「パストラーレ木管五重奏with打楽器津山公演」は、8月18日に新魚町のベルフォーレ津山で開催。午後6時半開場、午後7時開演。全席指定席、一般3000円、18歳以下2000円。
プレイガイドはベルフォーレ津山、津山文化センター、ヨシダミュージック、津山朝日新聞社。
後援津山市、鏡野町、津山市教育委員会、鏡野町教育委員会、明誠学院高等学校、(公財)東京フィルハーモニー交響楽団。助成あさひ企画、公益財団法人津山文化振興財団。
問い合わせは津山朝日新聞社(電話0868-22-3135)
イベントサイト https://tsuyamaasahi.co.jp/classic-20250818/


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