岡山県勝田郡勝央町出身の文学者・木村毅(1894〜1979年)とスポーツにスポットを当てた企画展が勝央町勝間田の勝央美術文学館で開かれ、スポーツ史に関する著書や活動の軌跡が来館者の興味を引いている。6月28日まで。
小説の文体や形成を解説したベストセラー『小説研究十六講』などで知られる木村の意外な一面を資料とパネルで紹介。
雑誌に連載され、国内スポーツの歴史を大観した書籍の草分けとして大学の講座などで重宝された『日本スポーツ文化史』(1956年刊)、早稲田大学在学中から好きだった早慶野球戦の歴史をまとめた『都の西北』(78年刊)といった著作、野球観戦の思い出などがつづられた詩人・有本芳水の手紙も並ぶ。50代で迎えた戦後、早慶野球戦の復活に尽力したり、東京都参与となって都知事に東京五輪の再招致を初めて具申したことなど、知られざる活動もクローズアップしている。
また28年、アムステルダム五輪に水泳選手として出場した甥(おい)の木村象雷による著書『世紀のオリンピック―アテネから東京へ』などの関連資料も。
同館では「延期された東京五輪・パラリンピックの開催が待たれる中、文学者としての博識に加えてスポーツ史にも造詣が深かった木村の著作、人となりにふれてもらえたら」としている。
文学者・木村毅の企画展ひらかれる/岡山・勝央町