冬季パラリンピック7大会で好成績を収めたクロスカントリースキー日本代表・新田佳浩選手(42)=岡山県西粟倉出身=の教育講演会(真庭市教委主催)が19日、岡山県真庭市久世の市役所で開かれ、子どもたちが将来に夢や希望を持つ大切さを語りかけた。
教職員の資質向上を目指す学校教育センター研修事業の一環で、市内の小中学校の教職員ら61人が参加。281人がオンラインの配信動画を閲覧した。
新田選手は3歳の時に事故で左手を切断し、その後壊死などが原因で肘から手までの部分も切除する災難に襲われた。それでも家族に支えられながら乗り越え、小学3年時に始めたクロスカントリーで、1998年の長野パラリンピックに初出場。それ以降、北京大会まで連続して代表に選ばれ、バンクーバー、平昌では金メダルなどを獲得した。今月、岡山県からスポーツ特別顕賞が贈られた。現在はイタリアパラリンピック(2026年開催)出場を目指す傍ら、若い世代の育成にも励んでいる。
「挑戦〜今必要なこと」と題した講演会で新田選手は、コンプレックスを抱えることもあったが、家族、友人らが精神的に助けてくれた過去を振り返り、「出来ないことも工夫次第で出来る。達成した時の喜びも感じるようになった」と強調。その上で、「スポーツでは技術や体力だけに目を向けず、心も大切にする。子ども自身が目標を持ち、自ら進んで行動できるように、大人が寄り添い、やる気を引き出す必要がある。日常においても同じ」と呼びかけた。
参加者は最後に質問をするなどして学びを深めていった。