美術家・小野和則さん(岡山県新見市)の個展「時間採集 田籟」が、真庭市勝山の勝山文化往来館ひしおで開かれ、日本の風土や自然を映し込んだ独自の作品が訪れる人の目を引いている。26日まで。
小野さんは1991年から33年にわたって、住所や境界などにとらわれず愛車で全国を旅。その土地で暮らす人々の営みや景色などを題材に制作してきた。
会場に並ぶのは、昔ながらの田植え綱や稲の株などをコラージュした畳1枚分かそれよりも大きな作品。自身が旅してきた日本の風景だといい、「1枚の田がどれだけ昔から作られてきたかは分からないが、1枚1枚に人々が生きてきたドラマがある」と小野さん。先祖の米作りの苦労や日本人の忍耐強さなどが作品から感じ取れる。色彩はススの黒や粘土を混ぜたものを顔料にして表現しものといい、独特な深みがある。
小野さんは「白紙で日本列島を見る時に、稲田、山野、河川、道、先祖の墓などから自分の国を考えてほしい。田んぼ1枚の見方も変わる。日本の自然の調和は本当に美しい」と話している。
問い合わせは、ひしお(TEL:0867-44-5880)。