「のれんの町」として知られる岡山県真庭市勝山地区で、来月1日から5日まで開かれる「勝山のお雛まつり」を前に、新たに作られたのれんを地域の人たちに引き渡す式が18日、勝山町並み保存地区の無料休憩所・顆山亭で行われた。
江戸の風情が残る同保存地区では民家や商店など100軒以上の軒先に個性豊かなのれんが飾られており、まちのシンボルになっている。今年は新規1軒を含む16枚が新調されることになり、地元の染織家・加納容子さん(76)が依頼者の希望に合った作品を制作した。
色鮮やかに染め上げた1枚1枚が順番に披露され、味わい深い山並みや美しい紅葉といった絵柄をはじめ、カフェ用にはかわいらしいデザインで仕上げた。加納さんが作品に込めた思いを述べた後、商店主や住民らに手渡された。式のあと真新しいのれんを早速、飾る人もおり、早春のやわらかな風にそよぐ風景が観光客らを楽しませた。
加納さんは「これからもみなさんと一緒に勝山ののれんについて考え、楽しく制作していきたい。お雛まつりでは1軒ずつに飾られた人形を愛(め)でて勝山の春を楽しんでほしい」と話していた。