明治を代表するジャーナリスト、実業家として知られる岸田吟香(1833〜1905)の生誕190年を記念した講演会が14日、旭町民センター=岡山県美咲町西川=で開かれ、町内外の歴史愛好家らが、郷土の偉人について理解を深めた。
武庫川女子大学=兵庫県西宮市=の山口豊教授が「岸田吟香と新聞との出会い」をテーマに、同町出身の吟香が日本初の民間新聞を創刊するまでの経緯を史料を交えながら解説。眼病を患い、米国医師・ヘボンと編さんした日本初の和英辞典『和英語林集成』や日本初の液体目薬といった功績について紹介した。
英語が堪能なジョセフ・ヒコが外国新聞を翻訳し、吟香が活字にしていく作業について、「訳語に苦心の跡が見える」とし、「人々が知りたいことをわかりやすく書いたり、速報性と人目に留まることを重視したりするなど、新聞の基礎を築いた。ここでの経験が今後の躍進につながった」と強調した。
この日は、青野高陽美咲町長とヒコの出生地である兵庫県播磨町の佐伯謙作町長による対談もあり、約200人が聴いた。
新聞週間(10月15〜22日)に合わせ、有志でつくる「岸田吟香を語り継ぐ会」が主催した。