津山松平藩のお抱え絵師・鍬形蕙斎が描いた「江戸一目図屏風」(県重文)が、岡山県津山市山下の津山郷土博物館で公開され、鳥瞰(ちょうかん)図の傑作に来場者が見入っている。5月7日まで。
保護のため普段は非公開にしている江戸一目図屏風(県重文)の実物を期間限定で展示。同屏風(縦17・6㍍、横35・3㍍)は、手前に隅田川、中央に江戸城、奥に富士山を遠望する構図で、東京スカイツリーの眺望とほぼ同じことで知られている。
日本橋、九段坂、芝増上寺など特定できる建物や地名が600以上ある「名所絵」の魅力も併せ持ち、目を凝らせば往来する人々の姿、動植物などが略画技法によって生き生きと描かれている。
さらに、デジタル技術で作品の世界観を表現した映像「江戸一目図漫遊記」(東武タワースカイツリー提供)も放映。このほか右隻に津山城と城下町、左隻に二宮を描いた「津山景観図屏風」(市重文)や、民衆の暮らしをいきいきとした筆遣いで表現した「略画苑」も目を引く。
同館は「この機会に実物を鑑賞し、他の作品とともに”蕙斎ワールド”を堪能してほしい」と話している。