津山市出身で、千葉大学大学院教授などを歴任した、日本の環境思想研究の第一人者で、環境学者(博士・人間科学)であり、現代社会総合研究所所長の松野弘さん(73)=千葉県=が監修・監訳した『緑の政治理論』が、「緑の政治思想の名著シリ-ズ」第2巻としてミネルヴァ書房から刊行された。
1992年に出版された、環境運動の理論的基盤を分析した古典的名著。地球環境問題の深刻化と拡大化が世界的な喫緊の課題となっている今日、生態系の破壊によって経済発展を推進した人間中心主義に対して異議申し立てをする、生態系中心主義を起点とする「緑の政治思想」や「緑の環境運動」の理論的分析とその方向性を多様な側面から検討している。
著者のロバ―ト・グッディン教授は米国生まれ。オックスフォード大学では、23歳で博士号を取得し、イギリスのエセックス大学で教職に就いた。1989年から今日までオーストラリア国立大学教授(特別栄誉教授)。また、オーストラリア・社会科学アカデミー会員であるとともに、英国アカデミーの連携会員で、世界的に著名な研究者である。
松野さんは「今なお、緑の政治理論を学ぶ上で必読とされている古典的な文献の一つ。緑の政治がどのような理論的基盤なのか、その運動の組織化が直面する課題はどのようなもので、それをどのように捉えればよいのか、緑の政治理論の観点から多角的に分析している。地球環境問題に対して政治理論の観点から論及したな貴重な研究成果なのでぜひ、学術書といえども一読をお薦めしたい」としている。
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「緑の政治思想の名著シリ-ズ」第2巻『緑の政治理論』(ロバート・E・グッディン著)
松野弘、緑の政治思想の名著シリ-ズ」第2巻刊行
- 2020年10月29日
- 歴史・文化