県が県森林研究所(勝央町植月中)内に整備を進めていた林業技術の研修施設が完成した。県内にこれまでなかった屋内で木の伐採技術を学べる実習スペースを備え、初心者から経営者向けまでの研修に対応。森林管理を担う行政職員の育成、民間の林業者の担い手確保に向け、4月1日開所する。
施設は木造軸組工法による平屋建て屋内実習棟(267平方㍍)とCLT(直交集成板)のパネル工法による平屋建て研修棟(286平方㍍)の2棟。
屋内実習棟は、梁(はり)までの高さ約7㍍、幅と奥行き約15〜17㍍の大空間を確保。斜面を想定したチェンソーによる木の伐倒、重なり合った風倒木の処理などが実践できる。研修棟は内装にもCLTなどの県産材を多用し、座学用の研修室(約30人収容)、相談室、事務室などを配した。就業希望者は重機のシミュレーター(模擬訓練機器)を用いて伐採から丸太にするまでの疑似体験ができ、経営者は中小企業診断士の指導を受けられるほか、就業相談窓口も常設する。研修カリキュラムは、林業用機械の操作やメンテナンス、林業就業者や森林所有者、建築関係者らの多様なニーズに対応できる内容。
県は、手入れが不十分な民有の植林を市町村の仲介により意欲ある担い手に集約する国の「森林経営管理制度」が2019年度導入されたのに呼応し、人材養成を目的に整備。総事業費約3億6600万円。
県林政課では「これまで山で行っていた実地研修も天候や状況に左右されずにでき、スキルアップを図れる。林業、木材産業に携わる人材育成の環境を集約した施設として業界の発展、森林整備の促進につなげたい」としている。
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完成した研修施設。右側が屋内実習棟
林業技術の研修施設
- 2021年3月24日
- 経済・産業