正月用のお飾り作りが岡山県津山市内の農家で最盛期を迎えた。下田邑の農業・中島昭治さん(82)方では、地域に伝わる「作州飾り」作りが進んでいる。
夏場に刈り取って乾燥させておいた稲わらを使って10月から作業を開始。この道約50年、妻の千恵子さん(78)と2人で作っており、器用な手つきで縄をなっていく。
作州飾りは福を包んで逃がさないようにと、二つの輪っかが内側を向いているのが特徴。田邑地区はかつて正月飾りの産地だったが、生産者が減り、途絶えそうになりながらも中島さん夫妻の手によって伝統が継承されている。
「新年が明るく幸せな年になりますように。これからも地域の伝統を大切に守っていきたい」と千恵子さん。
年末にかけて大小350個を手作りする。「代々、家が続くように」との願いを込めた橙(だいだい)、「喜ぶ」にちなんだ昆布(こぶ)などの縁起物を飾り付けて完成させる。鏡野町円宗寺の物産館「夢広場」や市内の個人商店に並ぶ予定。
